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指導することの難しさ

不合格になった方に謝られると辛く感じる

自動車教習所の教官は、真剣に生徒に向き合って安全に運転できるよう親身になって指導していきます。
それだけに、生徒がなかなか進歩していかず、免許を取れないと心配になるものです。
時には、教習所で実施される検定でうまく操作できずに落ちてしまう生徒もいます。
そういう人の中には、教官に近づいてきて「いろいろ教えてくれたのに落ちてしまって申し訳ないです。」と言ってこられる方がいます。

もちろん、その生徒が悪いわけでは決してありませんので謝る必要は全くありません。
そして教官としては、その生徒に合ったもっと良い指導の仕方があったのではないかと思ってしまうわけです。
せっかく意気込んで臨んだ検定でうまく行かないと、生徒もがっかりしますが、教官としても申し訳ない気持ちになるのです。
もちろん、そのままで終わることはなくまたチャレンジして合格する生徒ばかりですので、次につなげて進歩できるように引き続き丁寧に指導してきたいとどの教官も思っています。

一人ひとりにあわせた指導は難しいと感じることも

自動車教習所の教官という仕事の難しいところは、それぞれの生徒に合わせた教え方をしないといけないという点です。
中にはとても飲み込みが早くて、ほとんど教えなくてもすぐに運転に慣れていく人もいます。
しかし、逆に実際にハンドルを握ると頭が混乱して、どうやって操作したら良いのか分からなくなってしまう方もいます。

何回も同じ課程を繰り返しても、なかなか技術的に進歩しないというケースも見られます。
そんな時には、その方に合った教え方をしなければなりません。
どこが難しい点なのか、どんな運転のコツがあるのかといった点を分かりやすく教えてあげるようにしています。

しかし、ポイントを伝えても相手がよく理解できていないということもあります。
というのも、運転技術は頭で理解するというより体を動かして覚えるところもあるからです。
そこで、いろいろと表現を変えたり、感覚的な部分を言葉にしたりする作業が求められます。
一人一人に合わせて、こうした工夫をしながら教えていくのが教官が難しいと感じるところなのです。

喜びも多い仕事

このように、難しさや大変さがある仕事ですが、その分やりがいも大きいです。
卒業していった生徒がその後も安全に運転を続けているというのを聞くと、とてもうれしく思います。
普通免許を取った後に中型や大型の免許を取りに来る生徒もいて、さらにステップアップを目指して努力している様子を見られるのも教官として誇らしく思います。
単に免許を取るよう教えるというだけでなく、ずっと安全に運転を続けられるよう教えたいと思っているので、こうした生徒を見られることが一番なのです。